2022年の1年間はある意味、おかげさまというか、医療費控除(10万円または総所得金額の5%のいずれか低い金額)できるほどの医療費は使っていないため、初めて「セルフメディケーション税制」を利用してみようかと考えていました。
計上可能なのはセルフメディケーション税制の対象となっている医薬品だけ
購入した医薬品(市販薬)のレシートは家族の分を含め、一通り保管してあるので集計しようとまずは制度の仕組みを読み込んでいきます。すると、計上可能なのはセルフメディケーション税制の対象となっている医薬品だけとのこと。具体的には厚生労働省のサイト内「セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について」に掲載されている医薬品だけが対象だと分かりました。
対象の医薬品を簡単に検索できる仕組みが存在しないという驚き
今どき、医薬品名を入力すると、セルフメディケーション税制の対象か否か、簡単に表示される検索データベースが当然あるものかと思っていたら、何とPDFやEXCELファイルをダウンロードする方式です。まるで国税庁のインボイス制度の個人事業者の登録番号を探す仕組みを彷彿させる煩雑さ。検索する限り、民間のサイトでも代用できるような検索サイトは存在しないようです。医薬品業界って一体…。
「JSM-DBC|セルフメディケーション・データベースセンター」の「おくすり検索」なんかは如何にもそれっぽいサイトですが、セルフメディケーションの後ろに「税制」という言葉がないのがミソ。検索してもセルフメディケーション税制の対象なのかどうかの情報は表示されません。このサイトの検索結果に対象かどうか分かりやすく表示されればベストなのですが、何故そのようにしないのか謎過ぎます…。
セルフメディケーション税制対象商品であると記載されたレシートが必要
めげずに調べていくと、そもそも「当該商品がセルフメディケーション税制対象商品である旨」が記載されているレシート(領収書)が必要とのこと。
それであれば購入前ならともかく、後からならレシート頼みで進めるのが合理的だと知り、レシートを確認していく作業に移ります。
セルフメディケーション税制対象の医薬品は余りにも少ないという現実
ところがセルフメディケーション税制対象商品である記載がなかなか見つかりません。いくつかは見つかったのですがその数が余りにも少ない。
原因を調べた結果、判明したのはとても単純なこと。「セルフメディケーション税制対象の医薬品は余りにも少ない」という事実を知りました。
対象か対象外かの基準は有耶無耶な印象
例えば目薬、久しく愛用していた「スマイル40EX ゴールドクール」(第2類医薬品|ライオン)は対象外。最近購入した「Vロートプレミアム」(第2類医薬品|ロート製薬)は対象。
いずれも第2類医薬品のため、第◯類という分類区分は関係ないようです。
一体どういう基準で対象か対象外かを決めているのか調べると、分かりやすい解説は見つかりませんでした。何となく有耶無耶にしている印象すら受けました。
一応、建前としては「スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)」と説明していますが、2022年1月1日から「スイッチOTC以外にも対象となる商品が追加されました」と掲載されている通り、当初の基準はあってないようなものだと感じます。
▶️対象になっていてもおかしくなさそうなのに対象外だった医薬品の一例
▶️逆に対象になっていて意外だった医薬品の一例
南天のど飴は、第3類ですが対象です。
ツムラの漢方の「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)とは」のページを見ると、同じようなパッケージデザインのシリーズであっても、葛根湯や麻黄湯など一部の限られた商品だけが対象のようです。
セルフメディケーション税制は年間1万2000円を超えないと利用できません。対象商品がごく一部のため、集計した結果、とてもじゃないですが足りません。
セルフメディケーション税制を利用したいなら購入時に必ず対象品を選ぶ消費行動を取るしかないが、何か間違っている
今回、具体的に取り組んでみてから分かったのは、本気でセルフメディケーション税制を利用するなら、購入前に対象商品かどうかを調べ、とにかく対象商品を買うこと、これに限ります。そうしないと、そうそう年間1万2000円は超えないと感じました。
しかし本来、目的の症状を緩和・改善させたり、予防したりするために市販薬を買うのであって、薬を選ぶ基準が限られたセルフメディケーション税制対象品に絞られるのは、本末転倒だと思いました。残念ながら、他のいろいろな政策同様、セルフメディケーション税制は、実効力の低い、さもしい制度だと率直に思った次第です。
なお、Amazonやヨドバシカメラの場合、対象品であれば必ず、商品名の後ろに「※セルフメディケーション税制対象商品」というテキストが付記されていることを認識しました。付記されていない商品は、頑張って調べても無駄で、そのテキストがないことイコール、明らかに「対象外」なのでした…✍️