クリエイティブ・コモンズのFAQを独自に読み解いてみる(自分用備忘録)

日本語版クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのFAQ(よくある質問と回答)ページに基づく私論。

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▶クリエイティブ・コモンズといえども原則、標準的なコピーライト表示「Ⓒ」をする。

◆「FAQ-特によくある質問6-①」の通り、原則、元作品のコピーライト表示(クレジット表示)「Ⓒ 著作権者の名前 公表年」をする。クリエイティブ・コモンズは著作権とは別のものではなく、補完するようなもののため、基本的には標準的なコピーライト表示が示された上でそのライセンス条件を明示するもの。
なお、「FAQ-クリエイティブ・コモンズの組織と活動について8」の「クリエイティブ・コモンズは、著作権に反対しているのですか?」の回答文も関連して参考になる。


▶元作品に改変を加えて二次的著作物を創作した場合、元作品に「SA(継承)アイコン」が付いているかいないかで、二次的著作物に付与できるライセンス範囲が決まってくる。

◆「FAQ-特によくある質問6-③-⒝」の通り、「SA(継承)」が付いている場合は、「継承」という通り、元作品と同一のライセンスを付けなければならない。
「SA(継承)」が付いていない場合、「継承」しなくていいなら何でもOKという訳ではなく、「元作品と同じか、またはより制限を課すライセンス」であれば付けていいというルール。さすがに「All Rights Reserved」は付けられないのかと思いきや、「All Rights Reserved」というのは一番制限の多いものであり、つまり「より制限を課すライセンス」なので、「All Rights Reserved」を付けることもできる。これは意外に間違えそうな点。
◆本件は「FAQ-CCライセンスの付いた作品を利用したいと考えている方へ10」の「CCライセンスの付いた作品を元にして、新しい作品を作りました。この新しい作品には、どのようなCCライセンスを付けることができますか?」の回答部分に表があり、これが非常に参考になる。


▶「何が「営利」で何が「非営利」か」の項目がとても面白い。

◆ちょっと脱線しますが、「FAQ-特によくある質問7」にある「何が「営利」で何が「非営利」か」は個人的にずっと関わってきている点なのでとても興味深く面白い。
本件は突き詰めると結局、最後のブロックに出てくる通り、「迷ってしまうような場合は、明らかに営利利用が許諾されているライセンスのついた作品」を使いましょう、ということになる。御意。


▶クリエイティブ・コモンズは旅行業界でいうところの「宿泊約款」に近い気がしたが、カスタマイズは原則NG。

◆「FAQ-CCライセンスについて1」を読むと、クリエイティブ・コモンズは当然、法律の条文そのものではなく、「利用許諾条件の雛型」と表しており、まるでホテル/旅館業界で使われている「宿泊約款」を思い出した。
とはいえ、宿泊約款のように各宿泊施設が個別条件を付加するような方法はできない。できないというより、特約を付けた段階で、それは「クリエイティブ・コモンズ」とは呼べなくなる。別項参照。


▶クリエイティブ・コモンズで「NC(非営利)」と設定したからといって、その作品が営利目的で利用できなくなる訳ではない。

◆これ特に重要。「FAQ-CCライセンスについて5」の通り、クリエイティブ・コモンズで「NC(非営利)」と設定すると、その作品は、もう営利では利用できないのではないか、ビジネス的には利用できなくなるのではないか、という誤解が生じやすいが、そんなことはない。
著作者または正規の著作権者は、その作品を商業的に利用することはできるし、営利目的で利用したい第三者は、従来の著作権処理同様、著作者/著作権者とコンタクトし、別途許諾を得た上で、営利的な利用ができる。当然、時間/労力/コスト等はかかる訳ですが…。
この誤解を解きながら、もっとクリエイティブ・コモンズを活かす方法がありそうな気がする…。
◆「FAQ-自分の作品にCCライセンスを付けてみようと考えている方へ10」の「CCライセンスを付けて公表している作品でも利益を得ることはできますか?」及び「FAQ-自分の作品にCCライセンスを付けてみようと考えている方へ11」の「私は現在バンドに所属していますが、自分の作品にCCライセンスを付けつつ、引き続きロイヤリティをもらうことはできますか?」も関連して参考になる。
但し、ロイヤリティのくだりからも読み取れる通り、クリエイティブ・コモンズで「営利もOK」としながらも、実際に利用した人に対して、あとから「ロイヤリティを払え」というサブマリン特許のような作戦はダメです。当然ですが…。


▶付与したクリエイティブ・コモンズの条件を利用者が違反した場合、利用者が「30日以内に違反状態を是正」すれば、「自動的に許諾を再度得られる」。

◆「FAQ-CCライセンスについて12」の通り、日本語ライセンスのバージョンが「2.1」から「4.0」に更新されたことにより、クリエイティブ・コモンズの条件を利用者が違反した場合、利用者が「30日以内に違反状態を是正」すれば、「自動的に許諾を再度得られる」というルールになっている。


▶「SA(継承)」が付与された作品から二次的著作物を創作した場合、元作品のクリエイティブ・コモンズのバージョンが古くても、新たな二次的著作物にそれよりも新しいバージョンのクリエイティブ・コモンズを付与することはできる。

◆「FAQ-CCライセンスについて14」の通り、「SA(継承)」が付与された作品から二次的著作物を創作した場合、元作品がバージョン2.1と古くても、二次的著作物で4.0を付与することができる。逆に、すでに4.0が付与されている場合、古い2.1などを付与することができない。


▶クリエイティブ・コモンズを付与したからといって、著作権法第30条から第50条までの「著作権の制限」に何ら影響を及ぼすものではない。

◆「FAQ-自分の作品にCCライセンスを付けてみようと考えている方へ6」の通り、クリエイティブ・コモンズを付与したからといって、著作権法第30条から第50条までの「著作権の制限」、有名なところでは「私的使用のための複製」や「引用」について、何ら影響が出る訳ではない。面白い視点では、FAQにある通り、クリエイティブ・コモンズで非営利としても、著作権法に基づいた適切な引用の範囲であれば、営利的用途の中で「引用」することもできる、という訳である…。
まぁ、引用は引用で「どこまでが(適法な)引用か」という深い話題が常に存在しますが…。


▶改変OKなのに、改変後の二次的著作物が意にそぐわない場合、(著作者は利用者に対し)「名前の削除」を要請できる。

◆「FAQ-自分の作品にCCライセンスを付けてみようと考えている方へ13」にある「改変後の二次的著作物が意にそぐわない場合、(著作者は利用者に対し)「名前の削除」を要請できる」という点は、とても気になったので深掘りしてみた。WEBサイト上なら簡単に削除できるが、印刷物にきちんと表示していた場合、回収も修正もお金がかかる話だから。
例えば「CC BY 4.0(表示 4.0 国際)」の場合、「第3条-a.表示-3」には「許諾者からリクエストされれば、あなたは第3条(a)(1)(A)に掲げるいかなる情報も合理的に実施可能な範囲で削除しなければなりません。」(原文ママ)とある。
「合理的に実施可能な範囲」でよいというので、利用者視点では安心した。「合理的に実施可能な範囲」の定義が争点になると面倒ではあるけれど…。
◆そもそも論として、「意にそぐわない改変」という定義が曖昧なのは気になる。「誹謗中傷や、公序良俗に反する著作物になってしまった」というなら分かる。そうじゃない範囲まで「意にそぐわない」領域を広げたい著作者は、元から「改変を認めない」という選択をすべきとも思える。
まぁ、確かに著作者視点でいうと、妙な新興宗教とかの勧誘映像に使われていて、誹謗中傷や公序良俗には反していないという場合、少なくともクレジット表示はやめて~~、というケースなどは想像できる…😅
この辺、正直難しいところ…。


▶「著作者人格権」「パブリシティ権/プライバシー権(いわゆる「肖像権」)」は原則、ライセンスに含まれない(という前提で利用を熟慮すべき、と思う)。

◆「FAQ-自分の作品にCCライセンスを付けてみようと考えている方へ14」にある「パブリシティ権、プライバシー権、人格権を放棄するか、主張しないことに合意」しなければならない的なくだりは非常に気になったので深掘り。
例えば「CC BY 4.0(表示 4.0 国際)」の場合の「第2条-b-1」を見ると、本件についてまずは「本パブリック・ライセンスのもとではライセンスされません」とし、その上で「可能なかぎり…主張しないことに同意」となっている。これ重要。
著作者視点では努力義務であり、利用者視点での安全性からいうと「努力義務でしかない」と読み取るべき。
いわゆるロイヤリティフリーのストックフォトなどでいうところの「モデルリリース」「プロパティリリース」に深く関わってくる。ここを語り始めると非常に長くなるので触れないが、クリエイティブ・コモンズだからといって、何か特別に緩い訳ではなく、あくまで努力義務に基づいていると考え、利用時に熟慮する必要を強調しておきたい。
◆ついでに「著作者人格権」に絞っていうと、「著作者人格権」は「譲渡不能で著作者一身専属性あるもの」とするのが基本で、著作権が切れた後も「期限なく未来永劫永遠に残る」とするのが原則。それゆえ、著作権絡みの契約書では「著作者人格権の不行使」が当然のように盛り込まれてきた(正直なところ、本音では「ビジネス上、厄介な権利」なので盛り込まれてきたのだと思う)。
「著作者人格権」のうち、「公表権」「氏名表示権」「名誉声望保持」についてはクリエイティブ・コモンズにおいても処理しやすいし、前述の「意にそぐわない改変」あたりが関係してくる。
難しいのは「同一性保持権」で、「著作権法に不足していてクリエイティブ・コモンズに期待されている」最大のポイントの一つなのだろうと思っている。つまり、いちいち著作者にコンタクトしたりアプルーバルを取らなくても「改変」できることを後押しする先進性がクリエイティブ・コモンズの魅力の一つだと思う。
よって、完全にそれが担保されている訳ではなく、努力義務のニュアンスが残り、また「意にそぐわない場合」が想定されている点においては、正直なところ、不完全性を感じるし、法律の専門家が集まっても、難しいところなんだろうなぁ、と感じている…😅


▶クリエイティブ・コモンズは気軽に付与できるけれど、一度付与したら原則、取り消せないので、慎重に付与すべき、ともいえる。

◆「FAQ-自分の作品にCCライセンスを付けてみようと考えている方へ16」の通り、付与したクリエイティブ・コモンズを取消したり、変更したい場合、原則的には「できない」とされる。とはいえ、ここでいう「できない」というのは、すでにひとり歩きしている「利用者側の利用を止められない」、もっというと、止める権利までは有さない、という点を指しているのであって、著作者が「今この瞬間からクリエイティブ・コモンズとして公表することは止めます」といって実施すること自体を禁じているとはされない。
「今この瞬間より以前」に、その元作品を入手し利用している人の利用を止めることはできないですよ、ということ。
とはいえ、実際問題、以前はクリエイティブ・コモンズだったのに、ある時を境に、あらゆる利用においても対価をもらいますよ、とすることが是となると、サブマリン特許のように悪用可能になり、クリエイティブ・コモンズの有用性も悪化させてしまうので、公表を止めるのは勝手だけど、取消はできないですよ、という規定なのだと思う。
◆なお、同一作品において、途中で付与するクリエイティブ・コモンズの条件を変えた場合に関連し、「FAQ-CCライセンスの付いた作品を利用したいと考えている方へ6」の「著作権者が、「自分の作品には二つの異なるCCライセンスが付いている」と言っている場合はどうなりますか?」も参考になる。


▶クリエイティブ・コモンズの権利クリアランスが不完全なケースは十分想定されることで、その場合、付与した著作者側が責任を負ってくれる訳ではない、という点を理解しておくことは重要。

◆「FAQ-CCライセンスの付いた作品を利用したいと考えている方へ5」にある「利用しようとしている作品について、本当に正当な権利を有する人によってCCライセンスが付けられているのか不安があるのですが…。」はとてもよい、重要な設問だと思う。
ただ、この回答文は「その心配があるような作品は利用を控えた方がいいですよ」という主旨で、解決にはなっておらず、さらには「責任制限」という条項も設けて、著作者が「必ずしもその作品に関する全ての権利を有していることを保証するものではない」のがクリエイティブ・コモンズだと定義されている。
これも非常に難しい部分。クリエイティブ・コモンズを付与するハードルを下げることには寄与するけれども、厳密かつ本音部分では、利用する側の足かせとなり、トレードオフな部分といえる。
対価を得る通常の著作権絡みの契約においては、必ずこの部分は著作者側が保証する訳だけれども、クリエイティブ・コモンズの場合、原則「無償」なので、「無償なんだからそこまでは責任負えないよ」という落としどころなんだと思う。
そういう意味では、どこの誰だか分からないようなクリエイターや権利関係に無頓着なクリエイターのクリエイティブ・コモンズ・コンテンツ(マテリアル)というのは、大々的な使用においては避けた方が無難なのかもしれない。正直なところ…。
◆ちなみに、気を付けていても、もし万一、利用したクリエイティブ・コモンズについて、第三者から異議申し立て/クレーム等があった場合、著作者には責任を問えず、責任を負うのはあくまで利用者側となる(少なくともクリエイティブ・コモンズのルール上は)。


▶複合的著作物や編集的著作物において、一部分にクリエイティブ・コモンズのコンテンツを利用する場合、その他の部分や総体までクリエイティブ・コモンズの影響を受けるわけではない。

◆これは案外重要。このFAQを読むまで釈然としなかった。「FAQ-CCライセンスの付いた作品を利用したいと考えている方へ8」の「CCライセンスのついた作品とそうでない他の作品を合わせて、コンピレーションアルバムや文集など(以下、「編集物」と言います。)を作った場合、その全体に対してCCライセンスを付けなければなりませんか?」の問いに、「CCライセンスのついていない他の作品には、CCライセンスを付ける必要はありません」としている通り、複合的著作物や編集的著作物において、一部分にクリエイティブ・コモンズのコンテンツを利用する場合、その他の部分や総体までクリエイティブ・コモンズの影響を受けるわけではない。
例えば、自分で撮影した5分の映像作品の中で、他者のクリエイティブ・コモンズの映像素材を10秒使ったからといって、残りの4分50秒の映像の権利が、クリエイティブ・コモンズの影響を受けるわけではない。仮に映像はすべて他者のクリエイティブ・コモンズで作ったとして、音楽は自身のオリジナル楽曲/音源だとして、やはり音楽の権利が、クリエイティブ・コモンズの影響を受けるわけではない。
社会通念上というか合理的/常識的に考えれば、当然といえば当然の帰結ながら、権利関係をシビアに検証しておきたいタイプとしては、非常に重要な点である…😅
◆但し、注意しなければならないのは「継承」を含むクリエイティブ・コモンズ。これを複合的著作物や編集的著作物に含める場合、その先の利用者がいわば「再継承」する時点で、いろいろ誤解が生じる可能性が高い。次項の点を含め、原則的には「継承」を含むクリエイティブ・コモンズは、複合的著作物や編集的著作物に使うのは実質困難と思う。


▶継承を含むクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(「CC BY-SA(表示-継承)」または「CC BY-NC-SA(表示-非営利-継承)」の作品は、同じ条件のクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの作品にしか使えない。

◆「FAQ-CCライセンスの付いた作品を利用したいと考えている方へ9」の通り、「CC BY-SA(表示-継承)」のクリエイティブ・コモンズと、「CC BY-NC-SA(表示-非営利-継承)」のクリエイティブ・コモンズを組み合わせて新たな作品を作ることは認められていない。
はじめは、組み合わせたものを「営利」にするのはマズいだろうけれど「非営利」ならいいんじゃない、と思ったが、「継承」であるがゆえ、二次的著作物において、元来「CC BY-SA(表示-継承)」だったものが「CC BY-NC-SA(表示-非営利-継承)」へ変質しましまう時点で、「継承」の概念が崩れてしまう、ということになる。
余り深く考えたくない場合、「継承」が付くものは使わない方が合理的かもしれない…😅
◆前項及び本項に関連し、複合的著作物や編集的著作物にクリエイティブ・コモンズを利用する場合は、「FAQ-CCライセンスの付いた作品を利用したいと考えている方へ11」の「様々な作品を集めて一つのリソースにまとめています。この中にCCライセンスのついた作品を含めることは可能でしょうか?」の回答部分が非常に参考になる。


▶一般的な契約でいうところの特約にあたるような、クリエイティブ・コモンズに何か独自の条件を加える、または一部変更を加えるような活用方法は、ダメとはいわないが、その時点ですでにそれは「クリエイティブ・コモンズ」とはいえない。

◆「FAQ-CCライセンスの付いた作品を利用したいと考えている方へ12」の通り、クリエイティブ・コモンズに何か独自の条件を加えたり、または一部変更を加えるような活用方法は、ダメとはいわないが、その時点ですでにそれは「クリエイティブ・コモンズ」とはいえないとされる。
まぁ、それをしたいのなら、最初からクリエイティブ・コモンズは選ばず、独自の利用許諾を作って付与した方がいいだろうと思う。


▶【(FAQには出てきませんが)おまけ】クリエイティブ・コモンズの有効期間は元作品の著作権の有効期間を同一で、元作品の著作権有効期限を過ぎてPDになった場合、クリエイティブ・コモンズもPDになる。

◆クリエイティブ・コモンズは著作権と全く別物ではなく、著作権をある意味、補完する形で存在しているので、例えば「CC BY 4.0(表示 4.0 国際)」の「第6条-a」の通り、権利の有効期限は、著作権が切れればクリエイティブ・コモンズも切れる、という考え方になる。つまり著作権が切れてPD(パブリックドメイン)になったのに、クリエイティブ・コモンズで定めた継承や非営利という制限は続く、ということはない訳である。


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