Adobe(アドビ)の生成AI「Adobe Firefly」で生成した画像にはコンテンツ認証情報が記録、埋め込まれています。仕事柄、昔から著作権侵害、無断複製抑止のための電子透かし、ウォーターマークの技術に触れてきたた関係で、非常に興味深い技術です。
コンテンツ認証イニシアチブとコンテンツ認証情報
これはAdobeが主体となって運営している「コンテンツ認証イニシアチブ」(CAI:Content Authenticity Initiative)が密接に関わっています(「CIA」っぽく読めてしまう略称も面白いですが…)。
Adobe Fireflyのコンテンツ認証情報については公式サイト内の下記解説に詳しく載っています。
Verifyサイトでコンテンツ認証情報を確認可能
さて、画像に埋め込まれたそのコンテンツ認証情報はどうすれば確認できるのでしょうか? 下記「Verify」というサイトに画像をアップロードすれば簡単に確認できます(現在はベータ版扱い)。
先に投稿した「Adobe Firefly(アドビの生成AI)がついに商用利用可能に。ベータ版から正式版へ昇格。生成クレジットの要点。」という記事の文中で使用したFireflyによる画像を試しにアップしてみます。
このようにAIツールで生成された画像であることや、使用したAIモデルが「Adobe Firefly Pipeline」、制作ツールが「Adobe Firefly 1.0」であることが履歴として追跡できます。
Exifデータのように確認できる訳ではない
Mac標準のプレビューアプリで開き、「インスペクタを表示」で覗いてみても、Exifデータのような記録は一切確認できませんでした。
他の画像生成AIの画像をVerifyにアップロードしてみる
試しに、別の画像生成AI、Mageで生成した「Stable Diffusion」による画像を「Verify」にアップロードしてみました。
「コンテンツ認証情報が添付されていません」の文字のみで、何も情報は表示されません。Verifyはあくまでコンテンツ認証イニシアチブに基づく情報を表示するためのものであり、強力なコンテンツ・クレデンシャル情報の追跡ツールという訳ではないようです…。
Photoshopで書き出し、再保存した画像をVerifyにアップロードしてみる
Adobe Fireflyで生成した画像をPhotoshopで開き、「書き出し」>「Web用に保存」で再保存した上で、それをVerifyにアップロードしてみました。
なんと読み込み中のまま一向にその先には進みません。困っているようです。ページをリロードし、再度アップしたり、しばらくそのまま放置したりしましたが、状況は変わりませんでした…。
再保存してもコンテンツ認証情報を追跡するような場合、どのようにそのメタ情報を保持しているのだろうと、縮小したり、反転させたり、ノイズや他要素を合成させたりしてみようと考えていましたが、それ以前に躓いてしまいました。
ちなみに、Adobeとは関係のない画像アプリ「PhotoScape X」で少し縮小し上書き保存した場合、Verifyにアップすると「コンテンツ認証情報が添付されていません」となり、すでに認証情報は失われていました。
一方、一度WordPressにアップロードし公開した画像を、ブラウザからダウンロードし、その上でVerifyにアップしたところ、Fireflyからダウンロードしたばかりの画像データと同じ認証情報が表示されました。
加工や再保存をすると、コンテンツ認証情報はまだ簡単に失われてしまうようです。かつての電子透かしでもこの辺はなかなか難しいものがありました。今後の技術進化に期待したいところです…😊
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