映画『不都合な真実2 放置された地球』を「観た映画リスト」に追加

観た映画リストに『不都合な真実2 放置された地球』追加。2017年の米国のドキュメンタリー映画。原題は『An Inconvenient Sequel: Truth to Power』。2006年の映画『不都合な真実』の続編で、いずれもアル・ゴア元アメリカ合衆国副大統領が主演。前作は第79回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞・アカデミー歌曲賞を受賞した作品。後に、アル・ゴア元米副大統領はノーベル平和賞を授与。

  • 前作『不都合な真実』は気になりながらも視聴してこなかった。本作『不都合な真実2』から先に視聴する形となった。総論としては、地球温暖化、気候変動 、干ばつ、熱波、山火事、巨大台風、豪雨・水害等を関連付けて自分自身を啓蒙するのにとても役立つ、観やすく、良質なドキュメンタリー映画だった。特に、日本も世界も、観測史上最も暑い夏となる2023年の今夏に観たので、余計に差し迫ったリアリティを感じた。
  • 但し、不満もある。アル・ゴア氏は原子力発電について触れていない。再生可能エネルギー一辺倒の内容。特に太陽光発電と風力発電に偏重。現在、日本各地で見られる太陽光発電の問題、個人的には古くなったり故障したりした使用済み太陽光パネルの有害な産業廃棄物としての問題や、景観破壊、自然環境破壊の問題に注目しているため、その点について一切触れない点は大いに疑問がある。正直、アル・ゴア氏にとっての「不都合な真実」には触れないというスタンスが不可解…。
  • もしゴア氏が大統領になっていたら、一体、世界はどうなっていたのだろうとは想像してしまう。前述の疑問、不満等により、全面的なゴア支持派ではないため、経済や紛争面では、今以上に不安定な世界になっていた可能性もあると感じる。
  • 詩人のウォレス・スティーヴンズからの引用「最後のノーのあとにイエスがある そのイエスこそが未来の頼みの綱だ」というフレーズはとても印象的だった。
  • キリバス共和国が地球温暖化による海面上昇で、国土の半数以上は水没の危機にあり、大統領が、全国民の他国への移住計画を発表しているという情報には衝撃を受ける。Wikipediaによると人口は2020年時点で11万9000人となっていて、小金井市の人口とほぼ同じくらい。フィジー共和国が全国民を受け入れる予定があるとの記述もある。「気候変動難民」の規模の凄まじさを知る。
  • 「絶望は人を無力にする」という言葉もメモっておきたい。
  • インドのエネルギー・電力大臣、環境大臣側が(経済的に米国に追いつくため)米国の過去150年間と同じCO2は排出させてもらう、と主張するロジックは(インドに限らず)単純に屁理屈とは突っぱねられず、非常に難しい問題だと思う。結局、パリ協定(COP21)においては、米国の太陽光発電企業ソーラーシティの技術をインドに無償提供するという経済的バーターで話をまとめている。個人的にはまぁそういう感じなのかと、腑に落ちた解決策というほどではなかったのが正直なところ…。
  • 地球上において、ジカ熱を媒介する蚊の生息域が広がっているのも気がかり。
  • 温暖化による海水温の上昇で、水蒸気の量が著しく増加。熱エネルギーが海洋領域で「より最強で最凶な嵐」を生み出してしまう、という話に納得。
  • 「土壌からは水分を吸い取り、より深く長い干ばつをもたらす。植物も干からびるし、火災も増えます」は、最近のハワイやカナダの山火事も彷彿され、やはり強烈なリアリティがある。「これらを関連付けて語るメディアはほとんどない」もその通りかと。
  • 終盤、ゴア氏がパリでライブ配信中に「パリ同時多発テロ事件」が起きたことを知る。1年ほど前に観た映画『イーグルス・オブ・デスメタル パリの友に捧ぐ』が真っ先に頭によぎった。全く違った視点での映画だけど。
  • 小泉純一郎元首相が脱原発に姿勢を転換した件も思い出すが、日本ではこの『不都合な真実』シリーズ的な映画が制作される土壌はないよなぁとは思った。
  • とても納得がいく部分と、あくまでゴア氏のPVであり、プロパガンダの域を脱さない限り、実行力&実効力には到底及ばないよなぁという部分が交錯した…。

 以上のような感想なので、個人的スコアは「5」ではなく「4」としました。でも作らないよりは作った価値が大いにある映画だとは強く思います…😊

★★★★☆|4

《関連リンク》


Adobe Fireflyでテキスト「地球を襲う超巨大ハリケーンと、凄まじい勢いで融解を続ける極の氷河や氷床。」から生成したイメージ画像(コンテンツタイプ:写真)。

Share this…