デザインした販促物を印刷に回そうと、いつも通り、プリントパックのサイトを開いたところ、何やら見慣れないお知らせが掲示されている。一部の商品について「注文を制限している」、つまり「注文できない」事態が生じているという。
現在受注の集中と全国的な用紙の供給減
これが原因とのこと。
きっと凄い大量部数の案件だけが対象だろうと、さほど気に留めず、「チラシ・フライヤー」の注文ページに行き、A3サイズの「7営業日/6営業日」を選ぶと、「該当の納期コース、および用紙コースは現在ご注文受付を一時休止させていただいております」とのアラートが出現。
ええぇー、あれっ、まずは色校代わりの試し刷りでたった「100部」だけなのに、まさか…。
確かに注文への入り口となる料金が表示されないので注文できない。仕方なく納期コースを「5営業日/4営業日」に変えてみる。すると見慣れた料金表が出てきた。しかし、それは4営業日の表だけで、5営業日の方は空欄になっている。4営業日よりも長い納期、つまり「それよりも安い料金の印刷はできない」ということが分かった。
いずれによせ、取り急ぎ4営業日で入稿してから、何が起きているのかちょっと検索してみることに。プリントパック固有の問題かもしれない、と、まずは競合他社のサイトをいくつか覗いてみることに。
印刷内容によってプリントパックと併用して使い分けたり、過去に使ったことのある3社のサイトを取り敢えず見ると、いずれも同様のお知らせが掲載されている。
えっ、これって結構オオゴトなのでは、と、ニュースサイトを検索しても、直接的な報道は出ていない。不思議だなと思いつつ、タイミング的に近い、下記2つのニュースを見て、なるほどなと思った。
【製紙各社、10年ぶり「新聞用紙値上げ」の覚悟】 聖域についにメス、業績不振で「背水の陣」 : https://t.co/KSWiN3Co7K #東洋経済オンライン
— 東洋経済オンライン (@Toyokeizai) 2019年3月11日
製紙会社、印刷業者と溝 大幅値上げ・供給不足に不満 https://t.co/yUMqbDaH2m
— 日経電子版 マーケット (@nikkei_market) 2019年3月12日
印刷会社はどこも押し並べて「注文が集中しているのに紙の供給不足」という感じだけれど、実際のところは「製紙会社からの紙の仕入れ交渉において折り合いがつかず、紙不足」、もしくは「仕入れ値との兼ね合いで従来の安いコース(特に納期が長いものやボリュームディスカウント率の高いもの)は商売として割に合わない」というのが実情なのだろう、と推測…。当然、 製紙会社からすると、言い分は逆で、納得いく値上げが実現すれば、 きっと供給は少なからず改善に向かうと思われる。
あれっ、これはまるで少し前に社会問題化したアマゾンと宅配/運送会社との交渉のようにも思える。インターネットが一般化し、印刷物が減ってきたとはいえ、このまま続く、またはさらに注文制限が悪化するようであれば、もしかしたら、運送問題のように、もっと広く大きく報道される事態になるかもしれない。
自分自身は、ネット印刷通販が登場する、というか、インターネットが普及する前から、デザインや印刷に関わってきたので、正直、ネット印刷通販の安さは驚異的なものを感じてきた。ただそれは、歓迎する驚きであり、発注する側としては、次第に旧来の印刷会社から、ネット印刷通販への注文へ比重が移ってきた。一度安くなったものが再び高くなるのは、なかなか受け入れがたいことだけれど、昔の印刷費と今の印刷費の差が余りに圧倒的なので、宅配便同様、というか、宅配便以上に、少しは上がっても仕方ないのかも、とすら思いつつある。
まぁ、それでも出来るだけ値上がり幅は小さいに越したことはないのだけれど…😊